家族の負担を減らす住まい(日野市新井7号棟自社建売住宅)

普段、私が住宅のデザイン、設計をさせていただく際には、プロポーション(見た目)と使い勝手を同時並行、もしくはプロポーションを優先して作業を進めていきます。両者は、住宅にとって不可欠なものであるので、当たり前といえば当たり前です。

私の場合、美大、デザイン専門学校を卒業していることも含め、『デザイン(プロポーション)を通じて、お客様に幸せを届けたい』というコンセプトで建築をしております。

しかし、以前私が勤めていた大手のデベロッパー(分譲業者)では、そのどちらでもなく『価格(=安価)』にこだわっていました。年間何百棟と分譲していましたので、『良いものを作っても高額で売れ残るようでは意味がない』という理論でした。これはこれで正論だとおもいますし、『高くて戸建てを買えずに諦めている人に、買っていただく』というコンセプトも今となれば頷けるものもあります。

このように、家を一軒建てるとしても様々なコンセプトによって、出来上がる形が変わってきます。

今回の日野市新井7号棟はプロポーションよりも『家事の負担を減らす住まい』にフォーカスし、住まわれる方のストレスを少しでも軽減できる住まいを建てることをコンセプトとしました。

★先ずは間取りの特徴から

動線設計:動きのストレスを減らす

生活をするうえで、人の動線が重なると廊下などの狭い空間ではスムーズに動けなくなりストレスになります。そのため今回は『回遊性』を特に重視しました。来客動線、子供動線はメインの通路となる廊下を介して各部屋に出入りできるように設計しております。家事動線はLDKを中心に動くとこにより、廊下を使用しなくとも家事が行えるようにすることで、狭い廊下での行き来を極力減らすように設計しております。

仲の良い不動産業者さまから「8の字動線」と名付けられました。

機能部の在り方を考える:洗面室・パントリー&脱衣・家事室

キッチンの背面に洗面室とパントリーを設けることで、ストックなどを収納でき、汚れた野菜などは洗面台でも洗うことができます。風呂場に隣接する脱衣室に洗面台があることが一般的ですが、入浴のために着替え等を行っていると使用できないという状況はみなさんお持ちだと思います。そのため、今回は廊下、キッチン、脱衣室からアクセスできる洗面室を設けました。

洗濯も家事の中では大きなボリュームを占める考えます。洗濯機の周りに一時的に、洗濯物を仮置き出来たり、作業ができる空間があると家事の負担は激減すると考えました。作業台を設置し作業面が見やすいようにスポットライトを、アイロン等の家電が使用できるようにコンセントを洗剤等ストックできるように、吊戸棚を設置致しました。

炊事を考える:キッチン

弊社の標準仕様として、クリナップ社のラクエラシリーズを採用しております。使いやすくコストパフォーマンスの高いキッチンだと思います。今回は『デュアルトップ対面』としました。

いつもはコストパフォーマンスの高いホーロートップコンロを採用しておりますが、今回は、コンセプトを実現する為に、お掃除が楽なガラストップコンロを採用しました。水栓もタッチレス水栓を採用しております。

今までは見栄えの問題で、コンロ前にガラスの『油はねガード』を付けないことが多いのですが、家事の負担を減らすことが目的ですので今回は設置いたしました。

今回、キッチンの油汚れ等を防ぐキッチンパネルは磁石がくっつくタイプのパネルを使用しております。いまでは色々なメーカーから磁石で脱着できる商品が出ております。使う方が、一番使いやすい状態にカスタマイズしてご使用頂ければと思っております。メモなどの貼り付けにも使用できるので、家族間の連絡事項にも一役を買ってくれると思います。

トイレ掃除を考える:1Fトイレ

掃除の負担を減らすには、汚さないことが一番だとおもいます。今回は1階のトイレにパナソニック社のアラウーノを採用致しました。この便器は、便器内に泡バリアを作り出し、尿はねを軽減する機能があります。狭いトイレの床掃除は大変です。なるべく汚れないようにすることで家事の負担を軽減します。

いつもは、手洗い器付き便器を採用しておりますが、今回はアラウーノの採用によりタンクレストイレとなってしまったため、ミラタップ社(元サンワカンパニー)の手洗い器を設置しております。

裏庭の存在を考える:勝手口

建築の設計上、発生する裏庭を使いにくいただの空地とするか、できるだけ活かすことを考えるか?これもポイントとなります。裏庭を活かすにはアクセスのしやすさが大切になって来ます。最近ではあまり見かけなくなった勝手口を設けることで裏庭を活かすことができると考えます。匂いや衛生面の問題で、できれば屋内には置きたくない『生ごみ』などを、比較的気軽に屋外に設置した大きなゴミ箱に保管できたり、裏庭に設置した倉庫や物置に入れた備品を取りに行きやすかったりと、家事の助けになります。勝手口も昔の住宅では、壁付けI型のキッチンが一般的でダイニングキッチンからアクセスすることが一般的でしたが、近年流行りの生活スタイルの対面キッチンとした場合、キッチンの奥に勝手口を設置することになります。炊事を行っている時間帯は勝手口の使用が困難になってしまいます。その為今回は、1階の廊下の突き当りに設置致しました。住宅を検討する際には建築物のみを考えがちですが、その敷地にも意味を持たせることで、より快適な住空間を作る事ができます。屋内だけでなく、見落とされがちな屋外の使用方法も検討することが大切だと考えております。

まとめ:

建物を建築デザインする際には、間取りなのか?外観のプロポーションなのか?建築の性能なのか?使い勝手なのか?はたまた内装なのか?設備なのか?人それぞれ価値観は違います。もちろん、全てが揃っていることは理想に近いとおもいますが、土地の広さや、建築に係る法規、ご予算などの制限があります。『自分の家族にとって何が一番大切なのか?』これを明らかにすることで、ご家族が求める理想の住まいに近づくと思います。

言い換えればこれは『家族の形』になるとおもいます。例えば、LDKで過ごす家族の時間を大切にしたい家族もいれば、個人の趣味趣向を大切にするご家族も居られます。前者の家族であればLDKを大きくする必要があるでしょうし、後者であれば個室を充実する必要があります。どうのように間取りをすることが良いのかは優秀な建築士やデザイナーなどは知識や経験等から提案はしてくれるとおもいます。しかし、そんな彼らでも『ご家族の一番大切にしていること』までは設計デザインすることはできません。

住まいの新築等をお考えの方は『ご家族の一番大切していること』をもって、専門家にご相談されることをおススメ致します。

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