8月は10日~16日までの期間誠に勝手ながら夏季休暇を頂きました。 京都の実家に帰り旧友と会ったりリフレッシュさせて頂き、またこれからバリバリ働けると思う今日この頃です。 それはさて置き。 現在進行中の昭島市昭和町、木造耐火建築新築工事現場もお盆休みを終え、再び工事再開しております。 前回、『遣り方』まで終了させて、夏季休暇に入りましたので休み明けは基礎の建造を行っていきます。 まずは、『根切工事」。前回施工した『遣り方』の指示通り、基礎の形状に沿って土を削っていきます。 この時、基礎の地面に埋め込まれる『地中梁』の形に削っていきます。




『根切工事』が完了すると、地面からの湿気を防ぐために『防湿シート』を設置致します。シートを施工した後日、確認すると地面に接する面には水滴がびっしりついていました。これは、地面からの湿気を確実に食い止めている証拠だと思います。床下の湿気は木造建築にとって嫌なモノです。湿気は本体の材木を腐らせ、シロアリを呼びます。しっかり施工しておく必要がありますね。
そして、『捨コン打設』。地面の上にはしっかりとした目印を付けることができませんし、つぎの工程の『型枠設置』も遣り辛いです。そこで、薄く捨コン(捨てコンクリート)を打設しその上に『墨出し』をし、基礎外周型枠を設置いたします。

ここまでが終わると、次は『配筋工事』。
現在使用されている建築の基礎はほとんどの場合が 『RC造=鉄筋コンクリート造』です。
鉄筋コンクリート造=RC造
コンクリートの中には縦横に鉄筋が配置され、コンクリートを補強しています。
その為、建築全体の構造上必要な鉄筋を組んでいきます。
この写真をご覧いただけた方の中には『鉄筋が多い』と感じられた方がおられるかも知れません。確かに実際に鉄筋の量が普段の倍近く配置されています。
大空間を実現しようとした場合、できるだけ柱を減らしていきます。柱を減らしても外力に耐えうるような配筋が要求されます。今回の建物は、住まわれるお施主様の将来の変化を見越し、どれだけ変化できる建物を創れるか?が私にとって重要なポイントでした。その為、構造上必要な柱や梁を減らし、大空間でも建物が維持できるようにさせて頂いた結果なのです。




鉄筋が組みあがると第三者機関による『配筋検査』をおこないます。
弊社がお願いしている「JIO」の検査員の方は、一か所づつ丁寧に検査されていました。
実は、この検査を行う前日に私は現場に伺い、先だって同じようにチェックを行っています。少しでも疑問に感じた点、設計と現場の間に見解の違いが生じてしまった点等は前日までに全て直してあります。
上の写真に写っているように、専用の定規を使って鉄筋の間隔を計って全て写真に収めております。
検査員の方にも「そこまでやって頂いていれば大丈夫ですね。」とお墨付きをいただきました。



こうして、基礎工事が行われていくのでした。
良い建物の条件として、昔は『良い柱』など言われていました。床の間があり、そこに設置される『床柱』などにお金をかける方が多かったと聞きます。
しかし、地面や基礎は建物を支える最も重要な部分です。いくらいい柱を用いても建物が傾くと安心して住むことができないですし、修復する費用も想像を絶するモノになります。
良い建物も、軟弱地盤や、コスト優先の粗悪な基礎の上にあっては安心して住まうことができません。
しかし、完成してしまえば一見すると悪くは見えないのも実情です。
余談ですが、弊社ではリノベーション物件の販売もさせて頂いております。中古の物件を購入させて頂き、リノベーション工事を行い、また新たなお客さまに御引渡しをさせて頂くという物です。
リノベーション工事を行う際も、柱や梁の補強、筋交いの移動等の躯体に関わる工事も行います。言い換えれば柱や梁などは後からでも手を加えることができるということです。しかし、基礎はそう簡単にはいかないのが現状です。コンクリートの中に入った鉄筋を切るなど『狂気の沙汰』です。
ですのでリノベーションの際に最も問題になるのが実は『基礎』なのです。昭和から平成の初期までの建築の基礎は当然ベタ基礎ではく、布基礎で施工されています。床下の換気も現在のような『基礎パッキン工法』ではなく、基礎に20㎝×30㎝程度の開口を設け基礎換気を行っている物件が大半です。
基礎に対する考え方が現在とは違うといっても過言ではないと思います。
基礎は、建物が受けた外力を柱、梁、筋交いを伝って地面に力を伝える役割を担っています。その為、柱や、梁などの構造体を補強すると、必然的に基礎の負担も増えるということなのです。しっかりした基礎を創ることが後に住まわれる方の安心に繋がるということなのです。
基礎工事はお客様に安心して、長く住んでいただくために私が最も重要視している部分の工事なのです。