

建築場所:東京都福生市
敷地面積:245.04㎡(73.97坪)
延床面積:157.59㎡(47.57坪)
建築坪単価:60.9万円/坪
お客様より和を感じる住宅をデザインしてほしいとのご要望を受けました。
京都府出身の私にとって昔からなじみ深い『京町屋』のイメージを表現することを考えました。
和風建築のシンボルとして『縦格子』を全面に出すデザインを提案させて頂きました。
南道路で日当たりが良いという好条件ではありますが、バルコニー洗濯物を干すと道路から見えてしまうことが南道路の建築としての欠点です。
そこでプライバシーの確保する為、バルコニー手摺部を通常よりも高くすることで視線を遮るようにデザインしました。ただバルコニーの手すり壁を高くすると内部から見た圧迫感がでてしまいます。
そこで縦格子を用い内と外を緩く間仕切りました。
格子には厚みがある為、建物に対し真正面から見ない限り丸見えになることはありません。



外壁のデザインとして『本物の木』にこだわりました。
最近のサイディングはよくできてはいますが、やはり本物の表情には勝てません。
木のサイディングをより強調するために他の部分は黒のガルバニューム鋼板の金属サイディングとしております。




すべての水回りを2階へ配置しました。2階に配置したキッチンからバルコニーに出ることができます。
私は2階で洗濯したモノを2階のベランダに干せるということは、家事導線を検討する中では有利な間取りだと考えております。
キッチンで多くの時間を過ごされる奥様にもベランダ越しに見える外の風景を楽しんでいただけるように窓を通常よりも大きいサイズの窓としました。
内装のデザインとしてはできるだけシンプルにまとめていきました。
オーク(ナラ)を基調とし黒鉄のアクセントが入るようにコーディネートしております。





水回りは常々清潔感を意識してコーディネートさせて頂いております。
清潔感を出すために『白』にしただけでは非常に殺風景で寒い空間になってしまいます。
そこで照明の色を暖色系にしたり、一部暖色系の差し色を入れることで視覚的に寒い空間を回避しております。
この建物のキーワードとなっている『和モダン』を表現するために黒鉄のフレーム素材をアクセントとして使用しています。







その他の空間もシンプルかつ機能的なデザインとしています。
2階の寝室においても掃出しタイプの窓を設置することで空間に広がりを持たせています。







『関係性』という言葉は私のデザインワークの中では非常に大切な言葉です。
『人と人』『物と物』『人と物』・・・。
古来日本人の住宅感は西洋とは違い『内と外』を曖昧に扱っていました。
縁側・土間・坪庭・・・。
生活の中に外界とのつながりを求めていたのかもしれません。
深い軒は安心感を与えてくれます。できるだけ『内と外』の関係を曖昧にすることでお客様を迎え入れやすい空間にするようデザインしました。
大きな引違の玄関サッシの上部を欄間風のFIX窓を配置し天井に板張りにし目をそろえることで空間が外へと広がっていきます。
それと同時に深い軒の安心感も味わえる空間づくりをしています。







外構工事)
最近オープン外構と何もしない建物がたくさんあります。
しかし、外構までデザインして初めて住空間デザインではないでしょうか?
外部から建物につながるアプローチ。
建物にたどり着くまでにどれだけ来客にワクワクさせることができるでしょうか?
Rに加工したタイル部が訪れるひとを入り口に誘います。
また美しい曲線が美しい直線を強調します。
こういった裏と表の関係性もデザインの中ではとてもたいせつ要素なのです。


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