衣食住+仕事 事務所併用住宅 青梅市根ヶ布H様邸新築工事(地盤改良工事 ハイスピード工法1日目)
最近話題になって地盤改良若しくは地盤補強、杭工事。
横浜のマンションが傾き、建替工事を行うのかどうか?というご時世です。
建築を生業とする私がこんなことをいうと「えっ?」と思われるかもしれません。
『建物は何とかなる。土地はなんともならない。』と日頃からお会いする方々にお話ししております。
1、建物は人が作ったモノなので修理等で対応できる。
2、土地は自然のモノなので何ともならない。
これが通常の建築を行う人たちの見解だと思います。
しかし私は建築屋ともう一つ不動産屋という一面を持っております。そちらからみると
2’、土地は所有する権利である。
これは建物はモノでありますが、土地は所有する権利しかないということです。
逆に言うと土地を所有する権利があるとなりますが、では何時まで?ということになります。
一般的には、建物の場合は新築した時から取り壊されるまでが、一つの区切りとなるでしょう。ですので、『築○○年』とかが気になります。
しかし、土地の場合『平成○○年造成完了』とかでなければずーっと昔から存在しますし、急激に体制や情勢が変わらなければこの先ずーっとある訳です。
所有者が手放さない限りずーっと所有することができます。子供、孫、ひ孫・・・。
では、手放すというのはどういった場合なのでしょうか?
例えば、売買、相続など。
どれもお金が関わります。相続の場合は現所有者の方ではない可能性も多分にあります。
一般的には『お金は少ないより多いほうが良い。』と考えます。
その土地を相続で受けた方が転売を考えたとします。相続人が複数名の場合で、誰もその土地を使用しない場合はその土地を売買して、売買代金を分けるという方法が一般的です。
そういったケースは特に少しでも高く買ってもらいたいと思うのが人間です。
別のケースで、地面の中から特異埋設物(産廃など)が出てきて、撤去費用が土地の売買価格より高いなどといったケースも最近では非常に多いです。
そうなると、よかれと思って残した土地が、相続した方からは迷惑になってしまうこともあるのです。
現在あまり世の中で言われてはいないので表面化していないのですが、よく行う地盤改良工事の一つで『柱状改良工事』という工事があります。
地面にドリルで穴を掘ると同時にセメントを流し込み、土と混ぜて固めてしまうという工法です。
杭又は地盤改良工事は、建てる建物にあわせて施工時に基礎の図面をもとに改良工事を行います。
結果、建て替え時に間取りを変えた場合新しい建物に対応した工事ができないことも最近では発生しています。
新しく建てる際には、その古い杭を抜き取る必要が出て、かなりの費用を要する場合もあります。
今回の現場で施工させて頂いた『ハイスピード工法』は地面に穴を掘り、天然の砕石で締固めながら杭を建造するといった特殊工法です。
砕石とは『石』です。大抵の場合、多い少ないは別として地中内には『石』は存在します。その『石』を用いることにより、金属の杭やコンクリートの杭を使用することなく地盤を強化します。
『石』で大丈夫なのか?という声が聞こえてきそうです。
電車のレールの枕木の下に敷かれた『砕石』。
電車の車両は1両で2~30トンくらいあるようです。
その車両を支えているのも『砕石』。
意外と頑丈なモノなのです。
この図はあくまでも『ハイスピード工法』を肯定する図なので、必ずしも正解とは思いません。
しかし今回現場に立ち合い、今まで経験したことのない出来事を発見しました。
前述の『柱状改良工事』や『鋼管杭工事』『表層改良工事』では確認することができない地盤の様子を、実際に掘ることにより、目視できるということには安心感を覚えました。
オーガー(ドリルのような器具)で掘り、土を出して穴を開けると地中の様子が見ることができます。
今回の改良深度は約4M。
サウンディング試験(=以下SS試験)を行っておりますが、深い位置は実際に確認できていません。
今回、穴をあけることで中の様子が目視できました。
3枚目の画像で最深部に水が溜まっていることがわかるでしょうか?地下水です。
これはSS試験では発見されませんでした。
今回ハイスピード工法を選択した理由は、こちらの物件が山間の谷底地に位置し、山からの水が事前に予想されたこともあります。
コンクリートは硬化不良を起こすでしょうし、地中にあり、酸素は薄いとはいえ、鉄は錆びて長持ちしないでしょう。
もしここに知らないで、鉄製の鋼管杭やコンクリート杭を施工していたらと思うとゾッとします。
オーガーでドリリングし、1~1.5Mくらい貫入すると土を抜き取り、トラックに下す。
これを何回も繰り返して一本分の穴をあけます。
因みにこちらの物件は全体で24本の杭を建造します。
あけた穴に再度オーガーを入れて、砕石を流し込み、打撃を加え少しづつ締固めながら杭を建造していきます。
どこが『ハイスピード』なのか?
鋼管杭や柱状改良などは、あらかじめ穴をあける必要がないので一回で終わってしまいます。
工期もほかの工法と比べると格段にかかります。
しかし、新築している『今』やらないと二度とはできない工事であることは間違いないと思います。
確かに他の工法と比べれば、時間も掛かれば、費用も少し掛かります。
但し、前述したように実際の地中の様子を見れたり、資産価値を減らず安心を買うという意味ではすごくお勧めできる工法だと思います。
最後に『平板載荷試験』という実際に地盤の強度が出ているかをチェックする試験を行い、
更に『一般社団法人 住宅不動産資産価値保全保証協会』による30年間の地盤保証も付与されます。
色々なところでお勧めできる工事だと改めて感じました。
工事中の動画はコチラ 締固めの様子が見れます。