木造耐火建築新築工事(昭島市昭和町N様邸)耐火工事
内装の壁面を『耐火被覆』しているところです。
通常であれば柱に12.5㎜厚の石膏ボードを張ってクロスの下地します。
しかし、それでは『耐火』にはならないのです。
そこで、専用の石膏ボードを特殊な張り方で2枚重ね張りし、柱が燃えないようにします。
『なんで内装?』と思われるかもしれません。
簡単に説明しますと建築には2通りの火に対する性能があります。
・1つ目は、近隣からの『もらい火』を防ぐ性能。これは『防火性能』といいます。
新しい住宅であれば、一般的な木造でもこちらの性能は満たしている場合が多いです。
・2つ目は、自宅から失火した場合に燃え盛る炎に耐え、避難する時間を稼ぐ性能。こちらが『耐火性能』です。
上記の通り自宅から失火する状態を想定しているので『内装』も耐火被覆する必要があるのです。
床も、梁も、天井も耐火被覆を施します。
特殊な石膏ボードのみならず、仕様に依ってはアルミ箔を張ったりする必要があります。
要するに、『大工さんの手間がかかる=大工さんの仕事が多い』ということです。
その他にも、通常階段は木製階段を使用しますがやはり木製だと燃えます。
避難経路の確保の為、階段が燃え落ちてはいけないないのでこちらも『耐火被覆』を行うか『燃えないもので造るか』の選択肢しかありません。
その為今回は『鉄骨階段』を使用しています。デザインは良いのですがやはり『高価』なものとなってしまいますし、施工面もかなり大変でした。因みに『アルミ階段』は『耐火建築』では使用できません。火が掛かると直ぐに変形してしまうからです。
『ここまで、手間がかかる工事をしてなんのメリットがあるのか?』
それはやはり費用の問題ではないでしょうか?
RC造やS造では『坪=50万円(躯体のみ、40坪以上)』などといった謳い文句をよく耳にします。
私も以前務めていたRCの会社でもそのように謳っていました。
確かにウソではないです。
しかし言葉のトリックもそこにはあります。
設備費、設計費、地盤改良費などの諸経費がかなり掛かります。
文字通り躯体が『坪=50万円』なので、キッチンや風呂などの設備が入っていない可能性もあります。
コンセント等の電気設備も可能性としてはあります。
設計費は、木造以外では例外なく構造計算も求められます。その費用はかなりの出費となります。(数十万~150万円程度が多かった気がします。)
今話題の地盤の問題も他人事ではないです。
木造とは違い建築本体の重量が重いのは容易に想像できるとおもいます。その為設計荷重の増加により地盤改良、基礎杭工事が発生する可能性が非常に高いです。
私の知っている事例では東京都の某区の臨海の埋め立て地では30坪程度(建築面積10坪)の建物で約700万円の見積もりが来た経験があります。単純に700万円÷30坪=23.3万円余計に建築費が掛かるという計算です。
『坪=50万円』が一気に崩れ去ります。
更にいうとそれだけの杭工事を行って、数十年後に建替える際には『抜き取り』等の作業も発生する可能性があります。
私は建築は間取りや外観もそうですが、資産なので『所有する人の考え方』で色々な考え方の方向性があると思っています。
建築をお考えの方は一度専門家に聞いてみることをおススメいたします。
メリット、デメリットをしっかりと理解した上で、悔いの無い空間創りと資産形成をして頂ければ幸いです。