木造耐火建築新築工事(昭島市昭和町N様邸)構造見学会
『木造耐火建築』
『耐火建築』と言われるとなんとなく「火に強い」イメージが沸きます。
同じような言葉で『防火』といわれるものもあります。
『耐火』と『防火』は似ていますが、違いがあります。
文字通りですが『防火』は『火を防ぐ』です。簡単にいうとお隣が火事になったとしても、燃えないというイメージですね。いわば『もらい火』対策です。
『耐火』は『火に耐える』です。自分の家から火事が出てしまった場合でも建っているというイメージです。火事の原因となっても逃げたりする時間を作れる建築なのです。
このように同じ火に対する対策であっても少しニュアンスが違うだけで建築の構造はかなり変わります。
『防火』の場合、ザックリいうと外壁で火を止めてしまえば良いのです。大概の場合、外壁材は『火』や『水』に強くなっています。風雨にさらされるものなので当然の性能だとおもいます。しかし『耐火建築』は基本的にはクロスなどの燃える素材で創られた内装部分も『火に耐える』ようにしなければなりません。
その為に『構造部』に『耐火被覆』を施し燃えないようにする必要があります。
この『木造耐火構造』を用いることで、近年商業地などの利便性の高い立地に『木造』で建物建てられるようになりました。住宅のみならず、木造アパート、マンションなども最近では増えて参りました。
少し前であれば、鉄筋コンクリート造(=RC造)または鉄骨造(S造)に限られており建築コストが非常に掛かりました。
建築本体工事以外にも、設計費・杭又は地盤改良費も、木造のそれとは比べ物にならないくらい経費がひつようでした。
ただでさえ利便性の良い土地の為、土地価格が高い上に建築コストまで掛かると中々手が出せないのが現実でした。『木造耐火建築』にすることで、普通の木造までとはいきませんが大幅なコストダウンが可能になりました。
ご興味のある方は是非一度ご来場いただき、実感して頂きたくお願い申し上げます。
『制振構造』
近年、東北の大地震を筆頭に、地震の被害が甚大になってきております。
『地震』と『耐震性』は『イタチごっこ』だと言っても過言ではないと思います。
阪神大震災以降、当該地震耐えられる『構造』を求められてきて、次は『次世代の耐震構造』を求められてきています。
しかし、前記の通り更に大きな地震が発生したときは『想定外』なのです。
『地震に耐える構造』だけでは限界があるということです。
そこで耐震とは違う考え方をいれて、ハイブリッドな構造体にすることで地震の被害を軽減するという考え方が現在の建築に求められてきています。
今回こちらの現場でご採用いただきました方法は『制振構造』です。
その前に耐震・免震・制振構造について、簡単におさらいをさせていただきます。
耐震構造=地震に耐える構造(地震で壊れない硬いイメージ)
免震構造=地震力から免れる構造(揺れる地盤から切り離すイメージ)
制振構造=地震力を内部構造で吸収し振れを制御する構造(自動車のサスペンションのイメージ)
*『制振』のみ『震』ではなく『振』と書いています。地震を制するというより『振れ』を制するといった意味のようです。『制震』でも別段間違いではありません。
建築は色々な方法で地震と戦っているということです。
今回、ご採用頂きました『制振ダンパー』は住友理工株式会社の『TRCダンパー』です。
こちらの会社は、住宅用の制振ダンパーのみならず、橋のダンパーや、電車、車のダンパーなど建築以外の分野で様々な制振商品を扱っておられます。
ちなみにこの『TRCダンパー』は大手の鉄骨ハウスメーカーさんが昔CMなされていた『○ーカス』の木造版という位置づけになっています。何千、何万棟という実績がある商品です。
以上、『木造耐火建築』と『制振構造』の両方が見れる弊社の『構造見学会』。一度に両方見れることはなかなかないと思いますので、是非ご来場おまちしております。
今回の『構造見学会』では、ご来場頂いたお客様に『何か持って帰ってもらいたい』という思いで開催させて頂きます。より多くを知って頂きたいという思いを形にするために、メーカーさんのご協力の元、『住まいの勉強会』を同時開催させて頂くこととなりました。
今回のテーマは『建築前に知っておいて欲しい』です。
工務店としまた設計事務所として、お仕事をさせて頂いている弊社ですが、建築前にもっと知っておいて欲しかったと思うことが多々あります。
新築工事やリフォーム工事時に後ではできない又は非常にコストがかかるという物を今回ピックアップさせて頂き、メーカーさんにご賛同いただき語って頂く機会を設けることが出来ました。
話ばかりでつまらないと思われないように、体験して頂けるようなイベントになるよう各メーカーさんが準備してくれていますのでこれから『住まいを考える方』はもちろん、そうでない方も非常に為になるお話が聞けると思います。
私も一緒に勉強させていただければと思っておりますので是非ご参加頂けるようお願い申し上げます。