京都府向日市寺戸町 夢商人(飲食店)内装デザイン Vol.01
私は京都で生まれ、京都の美術大学を卒業し、最後は大阪の専門学校を卒業して東京の会社に就職のために上京した根っからの「京都生まれのの京都育ち」です。
今でもお仕事では関西弁を使わないようにしていますが、自宅ではバリバリの関西弁で家族と話しています。
最近までそんな私が生まれ故郷の「京都」で空間デザインのお仕事をさせていただけるとは思っても見なかったです。
弊社の場合基本、デザインから施工まで請け負い、お客様とじっくりとお話をし自慢の職人さんたちと「一緒に創り上げる」というのが基本スタイルです。
その為、ワザワザ遠くへ遠征してしまうと経費ばかり掛かって高いものになってしまいますし、お客様のメリットを感じることができないので、大変失礼ではございますがご理解を頂き「お断り」させていただいております。
オーナーのM氏はもともと10年以上小料理店を営んでおり、帰郷の際は欠かさずお店に足を運んでいます。
M氏とは小学校時代のからの親友で高校まで一緒に、部活も音楽もいっしょやってきた所謂「苦楽を共にした」親友です。
そのM氏より8月の暑い日に現場作業の最中に突然の連絡がありました。
「店を移転したい。どうすればいいか?」という相談でした。
前述の通り私の考える空間デザインの仕事のスタイルでは到底難しいので、
「地元の工務店か設計事務所に相談したら?」
と返しました。もちろん親友ですし、協力したい気持ちはありますが、反って迷惑になったりすることも予想されますし、何より今係わらせていただいている東京のお仕事に支障が出ることも容易に想像できました。
(ここからは関西弁で)
「どうやって探すの?」と。
まぁそう言ってくるのは想像した通り。何せ付き合いが長いもんで。
「だれか居るやろ?そっち同級とか。」
「居るけど、アイツはそういうんとちゃうし。あいつんとこはただの工務店やし、デザインとかできんやろ」
「お客さんでおらんの?」
「職方はいっぱいおるけど、デザインとはちゃうからなぁ」
「でも職人さんの知り合いで居るやろ?」
「まぁ居るやろうけど信用できん。お前がこっちにおったらなぁ。」
「そうやな。できることはやってやるけどなぁ」
「分かった。お前・・・。ヤレ!」
「ハァ?」
(関西弁はここまで)
本当に分かっていないのでしょう。昔からむちゃくちゃで思い付きで行動するタイプのM氏。
これは大変だ。
「ヤレ」と言われてもそもそも、こちらから職人たちを派遣するには経費が掛かりすぎる、こちらの仕事を投げ出して私も現場管理する時間も勇気もはないので、その旨を伝えました。
すると
「分かった。職方はこっちでよういする。お前はデザインだけでええ。」と・・・。
もう更に無茶苦茶です。空間デザインをなんだと思っているのでしょう。
「絵だけ画いてくれ」みたいな・・・。
私は「絵描き」ではなく「空間デザイナー」だと自負していますし、何より私が売っている商品は「デザインされた空間」であって「絵」ではないのですから。
「ご理解いただけない方」とは後のトラブルが予想できますので普通であればこの時点で「お断り」です。
しかし、何度説明してもダメなうえに言い出したら突っ走るタイプの人間なのは長い付き合いで知っていますので、こちらが「これはもう断れないな」と折れてしまいました。
但し、私にも大切な東京のお客様がおられます。こちらにご迷惑をお掛けす訳にはいかないので、
・デザイン、図面の作成はする。
・普段の現場管理は自分で行う。(但しサポート付き)
・こちらは現場にはできるだけ月2回行く。
・職人は京都の職人を使う。
・職人との打ち合わせは原則電話でこちらが対応する。
など、考えられる障害を想定しながら条件を付けて承ることにしました。
このブログでは簡単に書いていますが、「モノ創り」として、M氏の知り合いというだけの職人さんがどの程度の「腕と魂と誇り」を持って仕事をしてくれるのか?また、職人単価(費用)は?など不安は募るばかり・・・。
しかし考え方を変えてみると、こういうチャンスは滅多にない訳です。東京で仕事をする私に、ワザワザ京都からのお仕事のご依頼はない訳ですし、「今までとは違うやり方」を試す絶好の機会ではあるのです。
少なくとも施主は兄弟のように育ったM氏なのでいわんとすることは「なんとなく」分かります。
普段仕事をしていて、これは大変重要なことだと思います。
「相手を知る。」
初対面のお客様に対して最初に行うのがこの作業です。お客様の価値観や行動、生い立ち、将来像などをできるだけ掘り下げることで、お客様にあったライフスタイルをご提案させていただきオンリーワンの空間造りをしているのです。
こうして群がる不安を噛み殺しながら私の挑戦は続くのです。
PS
こちらのブログの続編は月2回の現場レポートになってしまいますので工事が飛ぶと思いますが悪しからず。
何せタイトルも「京都府向日市寺戸町 夢商人(内装デザイン)」なのでいつもの「~工事」ではないのです。