木造耐火建築新築工事(昭島市昭和町N様邸)確認申請提出・解体工事
これまた最近移転された立川市役所の内装デザインと近いモノを感じますね。
磨き上げられた集成材とコンクリートの表情がすごくコントラストが効いて良い空間となっております。
庁舎2階の建築指導課に伺い書類を提出した瞬間
職員の方から『すごい量の資料ですね。なんですか?』と。
以前のブログでもお伝えした通り、普通の木造では考えられないくらいの資料の多さです。
『木造の耐火建築です。』
『木造耐火ですか?珍しいですね。』
『まだ日本全国で1000件程度しかないようです。そのうちの1棟です。』
などと会話をしました。
建築確認をする建築主事の方もそうそうお目に係れない代物に驚いておられました。
因みに今年の6月から確認申請書の様式が変わりました。
当然、新しい様式で提出させて頂いたのですが、受け取る側の建築指導課の方が戸惑っておられました。流石役所ですね。
まぁそれは置いておいて・・・。
私は建築を生業としています。その為建物にすごく興味があります。新築という行為もすごく勉強になりますが、『解体工事』もすごく勉強になります。
今では使用禁止の材料が使用されていたり、新築当時の施工方法であったり。
実際の現場では色々なことを発見できます。
少し詳しく解体現場を見てみましょう。
解体された躯体(構造体)の材木です。
ありました。『シロアリ』被害。柱や土台が食い荒らされていますね。
当然、強度はかなり落ちて危険な状態です。防蟻処理は通常5年持つといわれていますが、建築の寿命はもっと長いです。出来るだけヒノキなどの防虫効果のある材木を使いたいものです。
定期的なメンテナンスをおススメします。
初期投資は掛かりますが、長い目でみると防蟻剤を注入された材料を使用出来ればベストですね。(越井木材 赤い柱)
続きましてこれ。
増築された基礎部分のようです。
コンクリートブロックで基礎を作っています。昔はこういう施工が多かったと聞きます。現在ではブロックとブロックを緊結するために鉄筋をいれて施工するのですが、当時では特に問題ないとされていました。
高さの問題も発生します。
通常コンクリートブロックの規格は幅=40㎝ 高さ=20㎝ 奥行=10㎝(100㎜厚のブロック)となります。
この施工では地面に直接ブロックを置いて施工しています。
ということは地盤面から最高でも20㎝ということになります。
地面からの湿気で材木が軟化し『シロアリ』の害に遭う可能性があります。
現在の木造建築でよく使用される『ベタ基礎』であれば、湿気の心配はほとんどありませんが、古い建築で使用されている『布基礎』では不安が残ります。
乾燥した材木は『鉄』に匹敵する強度がありますが、湿気を帯びると極端に弱くなってしまいます。建築中はできるだけ『雨』に濡れないように気をつけますが、やはり天気には勝てません。
しかし、設計がしっかりしていて外壁材と躯体との間に『通気層』を設けておけば建築後には材木は乾燥していきます。
建築は色々な、自然現象や環境と闘っています。
地震などの災害もあります。
出来るだけそういう変化に、ときには闘い、ときには受け流すような建築を創っていくことが大切だと思います。
いつかこの建物が解体されたとき『いい仕事していたんだな』と言われるような建築を建てたいと日々思っております。