Blog 日々彩色建美

Domus

高気密高断熱住宅への挑戦(Domus=スーパーウォール工法)

多くの方が、近年の地球温暖化による影響で、夏は猛暑、さらに酷暑といったものを経験されていると思います。

実際、東京(千代田区)では、平均気温が100年で約2.5℃も上昇しているとの事です。

私の携わる建築現場では、夏場に外作業をおこなう作業員が熱中症で倒れたり、最悪は命を落としたりする事態も報告されています。

温暖化による影響は気温の上昇のみならず、ゲリラ豪雨や台風の大型化などの二次的な影響、災害の甚大化、更には農作物にも影響が出ております。

言い換えると温暖化の影響は冷房エネルギー費以外でも我々の生活または家計に影響があると言えると思います。

そんな気候の変化に加え、家庭の経済を見ると原発停止、石油高騰による電気代の増加。

生きていく中で必要な生鮮食品も購入を躊躇するくらいの値上がり。

ほぼ全ての物品が以前に比べ2~3割程度の増額となっているように感じます。

かといって消費を支える収入は殆ど増えない状況。

建築の資材もウッドショックの影響が小さくなった半面、4半期に一度程度の間隔で資材の値上げが続いており、価格転嫁が上手くいかず地元の工務店は苦しんでいます。

 

世の中の動きには関心はありますが、私の性格上

『何かこのような世界を変えたい。』

とか

『温暖化を食い止めたい。』

といった大きなことは考えることはあまり得意ではありません。

むしろこんな時代だからこそ、ご購入頂きましたお客様には、せめて私のデザインさせて頂きた空間で快適な生活を送れるような住宅を建築したいと常々思っております。

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『デザインとは用の美である』

『用の無い美はアートである』

と大学等で教えられてきました。

アートも人間にとって心を豊かにするという意味でとても大切ですし、学生時代に多く学んだものはアートです。しかし今、空間を検討する上で私が最も重視しているのはデザインです。

『なぜそうなるのか?』

『なぜそれが必要なのか?』

が、私のデザインする出発点となっています。

今までは設備や性能にはあまり興味がなく、住まい手がどう住むか?だけが興味の対象でしたし、特に住宅の性能を上げる事を考えることもなかったのが現実です。デザインと建築技術だけに特化し、それなりの材料(断熱材)を使用し、それなりに安く建築してお客様に満足して頂こうとしていました。言い換えれば私自身が満足していたのかも知れません。

しかし、前述した地球温暖化による影響で、人生最大の買い物である『家』をご購入される方が、少しでも出費の抑えられることで、より快適な生活が送って頂けるのであれば、それはデザインだと気づき、私にとって一番の喜びであると考えるようになりました。

LCC(=Life Cycle Cost):ライフサイクルコストという考え方があります。

簡単にいうと建築を計画し、使用し解体するまでの総費用を指します。

建築する費用=イニシャルコスト(=新築費)+ランニングコスト(=エネルギー費、保全費、改修、更新費など)で構成されています。

確かに、安く建築することは多くのお客様にご購入頂ける可能性があります。現実的には、不動産をご購入される方の多くは不動産屋さんに行き、イニシャルコストの話だけを説明され物件の購入を検討されています。多くの不動産屋さんには、お客様のご購入後のFPファイナンシャルプランニング(=FP)などあまり興味のないことなのです。

先日、近所の某ハンバーガショップで食事をしていると、隣に座って話をされている若いスーツの男性と、30代くらいの女性の方の会話が耳に入って来ました。

女性『木造の戸建てだと足元寒いですよね。』

男性『そうですね。木造だと床下の断熱材が入っていないので。皆さん、カーペットや絨毯を敷いて住まわれています。』

男性は持っていたノートパソコンの画面を見せながら、女性に説明をされています。

その画面には、私もよく知っているIグループさんの新築分譲住宅の不動産図面が映し出されていました。

人生最大の買い物でお客様の資産のお話を多くの第三者が出入りするハンバーガショップでするという少し考え難い状況は置いておくとしても、不動産を売る方のあまりに建築の知識の無さに驚きました。

建売を売るということは即ち土地の権利と建物を売買するという事です。不動産業の場合は、オーナーさんとエンドユーザーさんの架け橋をすることです。

つまり、土地に付随する権利が所有権なのか、賃借権なのかとか、他人の権利に侵害されていないかとかをしっかり調査しお客様に『この物件は安心、安全でおススメします。』という形がビジネスの根底にないとお客様に大きな損害を与えたりすることになりかねません。

これは建物においても同じ事が言えると思います。前述したように建物も対しても、仲介する建物がどのようなもので何を売っているのかを不動産業者も知る必要があります。

古い中古物件で建築の図面もなく、現地を見ても確認できないというのであればいざ知らず、現在のところ義務では有りませんが、新築物件において『床下の断熱がない』などという事はほぼほぼありません。

断熱材の性能に関しては、各工務店さん、建築会社さんの考え方が最も反映される部分かと最近は特に思います。

 

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弊社では2023年よりDomus(ドムス)というシリーズをフラグシップブランドとし高気密高断熱デザイン住宅の建築を行っております。

Domusは高気密高断熱以外も耐震、制震、免震も兼ね備えた高性能住宅です。

ここでは気密・断熱についてのみ触れます。

DomusはLIXIL社のスーパーウォール工法を採用し外皮平均熱貫流率(UA値)0.46(W/㎡・k)以下、相当隙間面積(C値)0.4cm2/m2以下を社内基準として定めております。

この数値は大手のハウスメーカーさんにも負けず劣らずの性能値であることを補足しておきます。

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ZEH住宅をはるかに超える、HEAT20 G2クラス(断熱等級6*6地域)の性能で建築しております。

いくら断熱性能、気密性能を上げたとしても、換気の問題が出ることを忘れるわけにはいきません。

気密性能を表すC値は換気を除くことになっております。通常、住宅で用いられる第3種換気方式(自然吸気・機械排気=換気扇)では、部屋ごとに100πの大きな穴(給気口)が空いている状況で、C値は数字だけのものとなり、実際の気密性能とはかけ離れてしまいます。

気密性能を高くすることで、室温の安定のみならずしっかりとした計画的な換気を行うことができ、空気環境もより良いものになり、快適で健康的な住空間になります。

お客様が求められているものは「いい数値」ではなく「快適な生活」だと思います。

その為、弊社のDomusでは機械給気、機械排気か熱交換率90%(メーカー値)の第一種換気システムを標準仕様としております。

引っ越してからこの先3~40年、いやひょっとすると、もっと永い期間住み続けて頂く、住宅に対して私たち、株式会社アーキライフが目指す建築は『ずっと続く安心』です。