今回、東京都西部に位置する青梅市にガレージハウスのデザイン及び建築をご依頼頂きました。
最初は、『とても安く建ててくれる業者をネットで見つけた。同額で建築できないか?』とご相談を受けました。もしその金額が正しければ、弊社の下請けで建築できる金額でしたので、不可能である旨をしっかりとお客様にお伝えし、もし本当に可能なのであれば、その業者に任せるのがよいとお伝えしました。
そこで不信に思ったお客様が直接のその業者にお問合せされました。結果的にはやはり言い訳をしながら、不可能だと伝えてきたとおっしゃておられました。結果、弊社にてデザイン及び建築をさせて頂くこととなりました。
お施主様はもちろん車やバイクを整備する趣味をお持ちでした。
私も学生時代から車やバイクを改造したり、若いころはサーキット走行を行うなど、今でも『車いじり』の趣味を持っています。
そんな私が、整備中にトイレに行くときは靴のままで行きたい、オイルや泥で汚れた手はお湯で洗いたい、工具は一目でわかるように壁に掛けておきたい、汚れたときでもすぐにメンテできる壁の素材など、私自身どんなガレージハウスであれば使いやすいか?を考えながらデザインさせて頂きました。
ガレージハウスである以上ガレージ部に力を入れるのはもちろんですが、居住部もおろそかにはできません。
心地よくお住まい頂き、青梅の山々が堪能できるようリビングには大型のサッシを用いました。カーテンレールボックスを利用し天井高さより少し高い位置に設置することにより、より広く開放感を出す工夫をしております。
普段は寝室とLDKを間地切らずに使用することで大きな空間として使用することができますが、必要に応じて間仕切りができるように間取りを行っています。
今回の建物はガレージハウスで有る為、設備にはあまり予算を掛けず中級品で建築しています。
こちらの建物は昨今の世界情勢、エネルギー事情を加味し太陽光パネル+オール電化住宅となっています。
全てを100%にすると、とんでもない建築コストになる為、抑えるところは抑え、頑張るところは頑張る。といったメリハリが建築を行う上で大切な事だと思います。
車やバイクを整備する為には、車やバイクが格納できるのはもちろん、その車の周りを回って整備ができる寸法を確保する必要がありますし、工具箱や、ジャッキなどの整備道具が整理できることも大きなポイントとなると思います。
車の周りを大きく開けて整備しやすくすることは然程難しくはありませんが、逆にいうと建築が大型化することを意味します。建物が大きくなればなるほど、建築コストも膨らみます。『ちょうどよい大きさ』を検討することが必要となりました。更に、ガレージハウスという性質上、できるだけ柱や壁をなくし大空間を作り上げることが必要となります。鉄骨造や鉄筋コンクリート造であれば容易なことも、木造で建築する中ではかなりの制限も受けます。近年の大きな震災で1階部分が押しつぶされた映像の多くが、1階店舗のような構造的に不利な建築物でした。できる限りそうならない様に建物を作っていく必要がありました。