この物件のオーナー様は、某有名建売メーカーに勤務されています。
最初のお打ち合わせの際に「ホテルのような高級感」のある空間にして欲しいとのご要望でした。
男性が好む空間デザインと女性が好むそれとは少し違いがあります。
男性の場合、シックな落ち着いた空間が好きな方が多いです。
女性ですと明るく温かみのある空間をお求めになる方が多いです。
「凹凸で空間を演出する。」
今回デザインの段階でポイントとなったのが壁付のブラケット照明でした。
最近では一般住宅においてブラケット照明は階段室に用いられるくらいであまりお目に係れません。
というのも照明器具が壁から突き出た形の為、頭に当たるなど安全上の問題があったり、人にはフォルム(形状)や色に好き嫌いがあります。コンセプトメーキングをしっかりせずに工事を行っている業者さんは失敗を恐れ作り手側が提案しきれないのだとおもいます。
その為天井埋め込みのダウンライトを多用する傾向があります。しかしダウンライトも万能ではありません。ダウンライトの「落とし穴」は余程考えられた配置でない限り空間は「殺風景」なものになりがちです。それをシンプルと勘違いしていることケースがどれほど多いことか。
私の考えの中には真逆で、ダウンライトの方が余程コーディネート・デザインの力を問われると思っています。
今回は、デザインコンセプトがしっかりしているので私にとってブラケット照明は外せないアイテムでした。
ブラケット照明には照明具として空間を明るく照らすだけでなく、空間にアクセントをつけ、見る人の視線を誘導する効果もあります。器具によっては演出される光の形が面白いものもあります。
今回はリビングに『ダークウッド調の四角い箱型』の器具を使用しました。
こちらの器具は上下方向に光が飛びます。その光がクロスや壁の凹凸を演出しています。
夜、メインとなる照明を消しブラケットのみを使用すると落ち着いた雰囲気を演出することができます。
実はこの壁の白いクロスと茶系のクロスには4㎝の段差を付けております。
壁に凹凸をつけるとクロスのポイント張りの納まりが非常によくなります。クロスの納まりがいいとはがれにくく長持ち致します。
しかもたった4㎝の凹凸が高級感を演出してくれるのです。
こちらの壁はマンションの「戸境壁」となっております。マンションの躯体である為コンクリートの壁になっております。
マンションにお住いの方はご存知だとおもいますが、普通この壁に加工することはできません。
構造耐力上の問題もあります。
そこでこちらの壁は2重壁としその上に造作しています。
そうするとでブラケット照明の設置やコンセントの増設、スイッチ移設等も可能にしました。
できる方法を考えれば不可能を可能にすることもあるのです。
一言にマンションリフォーム工事やリノベーション工事と言ってしまうとそこまでですが、よりよい空間を創る為にいろいろなアイデアや工夫が必要となります。
ただ、クロスを張り替えるだけでもリフォームですが、私はせっかくやるならよりよい空間を演出したくなります。
こちらの物件のオーナー様にも大変喜んで頂きました。
後日オーナー様は、会社の同僚の方を大勢呼んでお披露目パーティをなされたそうです。
リビング
キッチン
トイレ
ゲストルーム