『少し高級・・・。そして暖かい』
―玄関を入ってすぐ小さなカウンターその後ろはカーテンで仕切られた施術室―
こういう接骨院・整骨院が大半を占めます。
「腕だけで勝負!」これもいいでしょう。
ただ、『少しでも良いイメージの医院に係りたい』これは普通の感情ではないでしょうか?
少し高級で、そして暖かい雰囲気の『カフェのような整骨院』があってもいいのでは・・・。
そんな思いをデザインしてみました。
『まっすぐ伸びる力を加える』
白い紙の上に白い絵の具1滴を落とします。
ほとんどその絵の具の存在に気が付かないでしょう。
こんどはその白い紙の上に赤い絵の具1滴を落とすとどうでしょう?
余程のことがなければ「赤」という存在にすぐに気が付く事だと思います。
さらには紙が白かったことにも気が付くかも知れません。
ただ、円やRを多用しただけでは暖かさや和らぎを表現しきれないと思います。円やRを際立たせるために、対比させるための「直線の力」がこの空間には必要でした。
その為、待合室の目隠しルーバーとして、整材した材木を使用しました。
ここは玄関との境にもなっているので、患者様が手を掛けることを想定しました。その為、木の温もり質感を少しでも味わっていただけるよう、無塗装で使用しています。
月日が経てば汚れ、変色していくことでしょう。
それが数年後には「味」となるはずです。
『失敗の産物』
デザインや設計に気を付けていても失敗することがあります。
後付やデザインの変化があったときは特にそうなりがちです。
こちらの物件も最初のデザインから少しづつ育てていきました。
結果として下駄箱の存在を軽んじてしまいました。
現場が進むにつれ下駄箱の存在に気が付き、下駄箱を使用される方が非常に使い難いことに気が付きます。
急遽現場でお施主様、職人さんと打ち合わせ。
どうすれば自然で且つ感動を与えられるような物が創れるか?
今回、下駄箱に続く通路を渡り廊下と見立てるデザインに行きつきました。
フローリングの張方向も斜めにすることで、初めてご来店頂く患者様にも、その存在に気づいて頂きやすくデザインしております。
失敗から生まれたデザインではありますが、この物件の中で私の最も気に入っている箇所であります。
『カッティングシート施工』
大学卒業後、『造形屋』にデザイナーとして就職した私。
因みに『造形屋』とはマネキンやメリーゴーランドなどFRPを使用した造形物を創る仕事です。
その会社で稀にサインに『カッティングシート』を施工する仕事をしておりました。
今回久しぶりにカッティングシートを貼るお仕事をさせて頂きました。
水平・垂直を出して位置出しして貼る。
なかなか手こずりました。
でも、この作業が終わるとグッと感じが出てきました。
『お祝いに・・・。』
開店のお祝いに弊社より時計を送らせて頂きました。
ジョージ・ネルソンのボールクロックの生地色。
ココにもまた「R」
傷みを抱える患者様の気持ちが少しでも和むようにとの願いを込めて・・・。